想定読者: 「面談記録やヒヤリハット報告を書くのに、いつも1時間以上かかってしまう…」と悩む、特養などの介護職員、ケアマネジャー、生活相談員の皆様 ゴール:...
支援計画・モニタリングもAIにお任せ|社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術 Vol.3【就労支援・放デイ編】
想定読者: 「毎月の計画書更新時期が来るのが憂鬱…」とため息をついている、就労支援や放課後等デイサービスのサービス管理責任者(サビ管)・児童発達支援管理責任者(児発管)の皆様
ゴール: 「文章が一言も思いつかない」という白紙のプレッシャーから解放され、AIを「優秀な壁打ち相手」として使いこなすことで、利用者一人ひとりに向き合う時間を取り戻すこと。
1. はじめに
「Bさんは最近少し落ち着いてきた気がするけれど、文章にしようとすると良い表現が見つからない…」
「行政の監査に備えて、前回と違う具体的な目標や手立てを書かなきゃいけないのに、語彙力が足りない…」
サビ管・児発管の皆さん、今日もパソコンの真っ白な画面と格闘していませんか?
個別支援計画やモニタリング報告書は、利用者さんやご家族の「未来」を描く大切な羅針盤です。だからこそ、責任感から言葉選びに悩み、膨大なエネルギーを消費してしまいます。
Vol.3では、この「文章作成の生みの苦しみ」を劇的に軽くする、Gemini活用術(中級編)をご紹介します。
ポイントは、AIにすべてを「代筆」させるのではありません。「私はこう思うんだけど、どうかな?」と相談に乗ってくれる、「優秀な壁打ち相手」にするのです。
目次
- 1. はじめに
- 2. 支援計画作成の悩み:「白紙」のプレッシャーと未来の姿
- 3. 解決策:AIを「壁打ち相手」にして思考の枠を外す
- 4. 実践レシピ1:個別支援計画ドラフト作成くん(プロンプト付き)
- 5. 実践レシピ2:日報からのモニタリング報告生成
- 6. 導入効果とプロの視点:AI任せにしないための最終チェック
2. 支援計画作成の悩み:「白紙」のプレッシャーと未来の姿
「思いつかない時間」をゼロにする
支援計画やモニタリングの作成において、AIを導入するとどう変わるか見てみましょう。
| 業務の悩み | ❌ Before (机で悩む) |
✅ After (AIと壁打ち) |
|---|---|---|
| 目標設定の文面作り | 「最近集中してるけど…」と頭の中にはあるが、具体的な手立てや専門用語が思い浮かばず、画面の前で30分フリーズ。 | 「最近集中してる」とAIにチャットするだけで、プロらしい目標と支援内容の文案を3パターン提案してくれる(所要時間1分)。 |
| 表現のマンネリ化 | 前回と同じような文言のコピー&ペーストになってしまい、監査の目や、ご家族の反応が不安になる。 | 「同じ文脈で、少し表現を変えて」「もっと肯定的な言い方に」と頼めば、語彙力を無限に拡張してくれる。 |
3. 解決策:AIを「壁打ち相手」にして思考の枠を外す
AIを使う最も賢い方法は、「AIに答えを書かせる」ことではなく、「AIから引き出してもらう」ことです。
たとえば、「Cさんの短期目標を考えて」と丸投げするのではなく、以下のようにチャット(壁打ち)をします。
- あなた:「Cさんは最近、作業中に手遊びが減って、30分くらい座っていられるようになったよ」
- Gemini:「それは素晴らしい変化ですね!では、その集中力を活かすために、次の短期目標として『45分間の連続作業』と『作業後の自発的な報告』のどちらを重点的に支援できそうですか?」
このように、あなたの中にある「感覚」を、AIが客観的な「言語」に引き上げてくれるのです。

4. 実践レシピ1:個別支援計画ドラフト作成くん(プロンプト付き)
Vol.2で紹介した「Gems(自分専用・記録作成アシスタント)」機能を使えば、いつでも壁打ちに付き合ってくれる相棒が完成します。以下の指示書を設定してみましょう。
あなたは放課後等デイサービス(※ご自身の施設種別に変更してください)の、経験豊富で優しい主任児童発達支援管理責任者です。
私が担当している子ども(利用者)の最近のエピソードや変化を箇条書きで送るので、それを基に、個別支援計画に記載する「本人の現状」「長期目標」「短期目標」「具体的な支援内容」のドラフト(たたき台)を3パターン提案してください。
【ルール】
1. 表現は、ポジティブで本人の強みに着目(ストレングス視点)したものにしてください。
2. 私の語彙力が足りない部分を補い、保護者や監査員が読んでも納得感のある専門的な言い回しを入れてください。
3. 最後に「〇〇について、もう少し詳しく状況を教えてもらえますか?」と、私にヒアリングする質問を1つ投げかけてください。
【使い方】
「Dくん。最近、負けず嫌いでゲームで負けると泣く。でも自分から『もう1回』って言えるようになった」といった、ただのメモを投げるだけです。AIがポジティブな文脈に変換した目標案を返してくれます。
5. 実践レシピ2:日報からのモニタリング報告生成
月末のモニタリング報告書(サマリー)の作成も、負担の大きな業務です。「この1ヶ月間、Eさんはどんな様子だったっけ?」と過去の記録を1日ずつ読み返す作業は大変です。
もしあなたの日報がGoogleドキュメント等に保存されていれば、Geminiにこう指示するだけです。
「以下の1ヶ月分のケース記録を読み込み、①現在の課題、②見られた成長・変化、③今後の支援の方向性の3点に整理して、400文字程度のモニタリング用サマリーを作成して。客観的な事実を中心にまとめてね」
これで、1ヶ月の流れがパッと要約されます。※個人名等の入力ルール(アルファベット化など)は施設の規定に従ってください。
6. 導入効果とプロの視点:AI任せにしないための最終チェック
「AIが書いた計画書なんて、魂がこもっていないんじゃないか?」という心配のお声もよく耳にします。
その通りです。だからこそ、「最後の仕上げは必ず人間(あなた)の手で行う」というルールを絶対に守ってください。
AIが出してくる文章は、どんなに立派でも「一般的な正解」に過ぎません。
「Fさんのあの笑顔はこの目標じゃないな」「この言い回しはご家族が傷つくかもしれない」……その違和感に気づき、微調整できるのは、日々利用者さんと直接顔を合わせている皆さんだけです。
AIを使って生み出した「余白の時間」で、その微調整にこだわってください。それこそが、サビ管・児発管としての専門性であり、人間の魂を込める作業なのです。
次回(Vol.4)は、少し毛色を変えて、現場のリーダーや事務担当者を苦しめる「シフト作成」や「経費精算」などのバックオフィス業務を、Googleのツールで一掃する方法をご紹介します。お楽しみに!
【社会福祉施設を運営する事業者の方へ】
エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から運用ルール策定、その後の業務プロセス最適化まで、地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。
「AIを使えば計画書作成が少し楽になりそう」「でも、個人情報の扱いなどセキュリティのルール作りがわからない」とお悩みの方は、ぜひお気軽にエスポイントまでご相談ください。
あなたの施設の実情に寄り添い、一番無理のない形での『仕組みづくり』をご提案いたします。
次の記事: シフト・経費・在庫管理を自動化|社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術 Vol.4【バックオフィス編】 →
