想定読者: 「毎月末の事務作業でヘトヘト…」と嘆く、施設長、事務員、シフト作成担当の皆様 ゴール:...
明日から使える20の活用事例|社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術 Vol.5【総集編】
想定読者: 日々の業務に追われ、「もう少し利用者と向き合う時間がほしい」と願うすべての福祉施設職員の皆様
ゴール: 「これなら明日、私の仕事でも使えるかも!」とワクワクするような、小さな成功体験のタネを見つけること。
1. はじめに
「AIが便利なのはわかったけれど、日々のバタバタの中で具体的にどう使えばいいの?」
「特別なスキルがある人だけのものなんでしょう?」
そんなふうに感じていませんか?全5回にわたってお届けしてきた本連載も、いよいよ最終回です。
今回は難しいシステムの話は抜きにして、私たちが現場でサポートさせていただいた皆様が「これ、もっと早く知りたかった!」と笑顔になった活用事例を20個、一挙にご紹介します。
カテゴリごとにまとめましたので、今の自分に一番近い「困りごと」から一つだけ選んで、明日ぜひ試してみてください。
目次
2. 活用事例20選:明日からの業務を変えるヒント
カテゴリ1:コミュニケーション(情報共有)
「共有漏れ」や「伝わらないもどかしさ」を減らし、チームの連携をなめらかにする事例です。
| 1. 音声入力で「歩きながら」申し送り スマホに向かって話しかけるだけで、移動中にチャットの下書きが完成。夜勤明けの疲れた頭でキーボードを叩く必要はもうありません。 💡 TIPS: 業務スマホのGoogleドキュメントを開き、マイクボタンを押して歩きながら喋るだけ! |
| 2. チャットの「要約」で未読消化 休み明けに溜まった数十件の未読チャット。「全部読む時間がない…」と焦った時は、Geminiにサクッと要約してもらいましょう。 💡 魔法のワード: 「この一連のチャット履歴から、今日私が対応すべきタスクだけを箇条書きで教えて」 |
| 3. 多言語翻訳で外国人スタッフと連携 「清拭」や「臥床」といった専門用語も、AIなら文脈に合わせて自然な表現に翻訳してくれます。 💡 魔法のワード: 「以下の文章をネパール語に翻訳して。ただし介護現場で働く人が一番耳慣れた、やさしい表現にしてね」 |
| 4. 保護者への「やわらかい」メール作成 ご家族に伝えにくい事故報告やお願い事。相手を不安にさせない言葉選びに悩む時間を、AIが半分にしてくれます。 💡 魔法のワード: 「以下の事実をご家族にメールで報告します。角が立たず、かつ私たちが責任を持って対応している安心感が伝わる文面に書き換えて」 |
カテゴリ2:記録・文書作成
「白紙から文章を書く苦痛」を手放し、ケアの本質に向き合うための事例です。
| 5. 「箇条書き」から報告書を作成 「Aさん転倒」「打撲なし」「声かけで落ち着いた」といったメモを渡すだけで、誰が読んでも整った「報告書」に仕上がります。 |
| 6. 手書きメモのOCR(文字起こし) 会議中のホワイトボードや急いで取った手書きメモをスマホでパシャリ。Google Keepやドライブに入れれば、自動でテキストデータに変換されます。 |
| 7. マニュアルの「わかりやすい」書き換え 役所から届く堅苦しいガイドラインや、分厚い社内マニュアル。新人指導の準備で頭を抱えたら、AIに翻訳してもらいましょう。 💡 魔法のワード: 「このPDFの感染症対策マニュアルを、今年入ったばかりの20代の新人職員が直感的に理解できるよう、3つのステップに噛み砕いて解説して」 |
| 8. ヒヤリハット報告書の客観化 「危ない!またやってしまった」と感情的になりがちなヒヤリハット報告も、AIを挟むだけで冷静な分析レポートに変わります。 💡 魔法のワード: 「以下の私のメモから、事実(起きたこと)と、私の解釈・感情をはっきりと分けて整理し直して」 |
カテゴリ3:管理・事務(バックオフィス)
「あのExcelどこだっけ」「また紙を転記するの?」という事務ストレスをゼロにするツール連携例です。
| 9. シフト希望の自動集計(Google Form) 休憩室の回覧板やバラバラのLINEで集めていたシフト希望。スマホのForm入力に変えるだけで、自動的に一つのスプレッドシートに一覧化。転記ミスが消滅します。 |
| 10. レシート撮影で経費精算(AppSheet) おやつやおむつの買い出し代。月末にレシートの束を裏紙に貼って提出する代わりに、買ったその場でスマホアプリで撮影するだけ。日付や金額もAIが読み取ります。 |
| 11. 在庫切れアラート(AppSheet) 「誰か最後に使った人、注文しといてよ!」というよくあるケンカの種。在庫が一定数を下回ったら、担当者に自動で発注アラートメールが飛ぶ仕組みをノーコードで作れます。 |
| 12. 会議日程の自動調整(Google カレンダー) 「予約枠」機能を使えば、自分の空き時間を相手にWEB上で公開できます。「〇日か〇日でいかがですか?」というメールの往復はもう不要です。 |
カテゴリ4:クリエイティブ(広報・行事)
「アイデア出し」や「素材探し」といった、意外と時間がかかるクリエイティブ業務を助ける事例です。
| 13. お便りのイラスト生成(Gemini) 「ちょうどいいフリー素材が見つからない…」とネットを放浪する時間は終わりです。 💡 魔法のワード: 「秋の運動会で、高齢者と子どもが笑顔で玉入れをしているイラストを描いて。温かみのある水彩画風で」 |
| 14. 行事の企画出し(Gemini) マンネリ化しがちな季節の行事。AIと一緒に考えれば、思わぬ名案が飛び出すかもしれません。 💡 魔法のワード: 「特養での敬老の日のイベント。車椅子のままでも室内で楽しめて、予算は全体で5000円以内。スタッフの準備負担が少ないアイデアを5つ提案して」 |
| 15. 求人票のキャッチコピー作成(Gemini) 「アットホームな職場です」から脱却し、施設らしさが伝わる言葉を探します。 💡 魔法のワード: 「うちの施設の特徴は〇〇と〇〇です。現在、子育てが落ち着いて仕事復帰を考えている40代女性に響く、求人票のキャッチコピーを3つ考えて」 |
| 16. 動画編集の構成案(Gemini) 採用向けや家族向けの施設紹介動画。撮影前になんとなくスマホを回すのではなく、構成案(絵コンテ)を一緒に作ってくれます。 |
カテゴリ5:研修・学習
職員のスキルアップや、日々の「これなんだっけ?」を解決する最強のパートナーとしての事例です。
| 17. 研修資料の「小テスト」作成(NotebookLM) せっかく実施した研修もやりっぱなしでは意味がありません。資料PDFをNotebookLMに読み込ませて一瞬でテストを作成しましょう。 💡 魔法のワード: 「このPDF資料の内容から、理解度を確認するための3択クイズを10問作って。解答と解説もセットにしてね」 |
| 18. ロールプレイングの相手役(Gemini) 難しいクレーム対応の練習。Geminiの音声会話機能を使えば、リアリティのある練習相手になってくれます。 💡 魔法のワード: 「あなたは今、強い不安を感じて少し怒りっぽくなっているご家族の役です。私からの説明に対して、わざと少し厳しい質問を投げかけてください。会話の練習をしましょう」 |
| 19. 最新の福祉ニュース収集(Gemini,Google アラート) 忙しくて専門誌を読む暇がなくても、AIにまとめてもらえば移動中の3分でチェックできます。 💡 魔法のワード: 「今週の介護保険法改正に関する最新ニュースを、要点だけ3箇条で教えて」 |
| 20. 資格試験の「赤ペン先生」(Gemini) 介護福祉士などの資格勉強中、テキストを読んでも理解できない専門用語の解説を頼みましょう。 💡 魔法のワード: 「『ノーマライゼーション』という概念がよくわかりません。私の仕事(デイサービス職員)の具体的な場面に例えて、小学生でもわかるように説明して」 |
3. 導入のステップ:小さく始めて、大きく育てる
いかがでしたでしょうか。20個の中で、「あ、これなら今の私でもできそう」と思えるものはありましたか?組織を変える第一歩は、魔法のような大型システムではなく、こうした「小さな成功体験」です。
Step 1. まずは「特定のチーム」で試行する
いきなり全社展開を目指す必要はありません。まずは信頼できる数人のチームで、「音声入力による議事録作成」や「共有ドライブでの情報集約」など、標準的な機能を試験的に使ってみてください。大切なのは、個人の隠れたテクニックにせず「このやり方なら皆が助かる」という実証データを作ることです。
Step 2. 「標準化のメリット」を可視化して共有する
一部のメンバーだけで完結させず、「このツールを使ったら入力時間が30分短縮できた」という成果をオープンに報告します。周囲が「自分たちもその標準に合わせたい」と感じる空気感を作ることが、無理のない社内浸透のコツです。
Step 3. ルールを整備し、組織の仕組みへ昇華させる
「これは導入すべきだ」という合意が取れたら、いよいよ本格的な管理体制(AppSheetを用いた公式アプリ化や、利用ガイドラインの策定)の出番です。この段階で外部の伴走パートナー(プロ)の知見を借りることで、セキュリティを守りつつ、属人化しない「会社の公式ルール」として定着させることができます。
4. プロの視点:AIと共存する新しい福祉の形
「AIが進化すると、私たちの仕事は奪われてしまうのでしょうか?」
現場の方から、そんな声をお聞きすることがあります。私たちの答えは明確です。AIは、福祉の仕事を奪うものではありません。むしろ、「人間が本来の『人間らしさ』を取り戻すための、頼もしい相棒」です。
顔の見えない書類とのにらめっこや、パソコンの前で「うーん」と悩む時間はAIに任せてしまえばいい。そこで生まれた貴重な時間は、利用者さんのささやかな変化に気づくため、声に耳を傾けるため、そして職員同士で「今日のあの対応、よかったね」と笑い合うために使ってください。
ツールに振り回されるのではなく、ツールを使いこなして余白を生み出す。それこそが、テクノロジーと共存する「新しい福祉の形」だと私たちは信じています。
まとめ
全5回にわたり、社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術をお届けしました。
- Vol.1: 音声入力で記録を楽にする
- Vol.2: 特養の面談記録をGemsで自動化
- Vol.3: 支援計画をAIと壁打ちして作成
- Vol.4: シフト・経理をアプリ化して効率化
- Vol.5: 20の事例で全業務をアップデート
もし、この連載を通じて「うちの施設でも何か変わるかもしれない」という希望を少しでも感じていただけたならこれ以上の喜びはありません。
【社会福祉施設を運営する事業者の方へ】
エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から運用ルール策定、その後の業務プロセス最適化まで、地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。
「記事を読んでみたけれど、自社にどう当てはめればいいかわからない」「脱・アナログを進めたいが社内にIT人材がいない」とお悩みの方は、お茶を飲みながらおしゃべりする感覚で、ぜひお気軽にエスポイントまでご相談ください。
あなたの施設の「時間がない」「人が足りない」という痛みに寄り添い、一番無理のないペースで、最適な『仕組みづくり』をご提案いたします。
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