想定読者: 「パソコンに向かう時間をもっと減らして、利用者さんと向き合いたい」と願う、すべての福祉現場職員・管理者様 ゴール:...
面談記録・ケース記録を「話すだけ」で完了|社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術 Vol.2【特養編】
想定読者: 「面談記録やヒヤリハット報告を書くのに、いつも1時間以上かかってしまう…」と悩む、特養などの介護職員、ケアマネジャー、生活相談員の皆様
ゴール: 「Gems(ジェムズ)」という機能を使って、自分専用の記録作成アシスタント(代筆ロボット)を作り、面倒な文章作成を数秒で終わらせること。
1. はじめに
「利用者さんの最期の時間を少しでも豊かにしたい」
そう思って接しているのに、気がつけば机に向かって「ご家族の意向はどうだったか」「今日の状態はどうだったか」を思い出しながら、キーボードと睨めっこする毎日。
「面談中、メモを取るのに必死で、ご家族の顔をあまり見られなかった…」
そんな自己嫌悪に陥ったことはありませんか?
前回(Vol.1)は、スマホに向かって話しかけるだけで文字にする「音声入力」をご紹介しました。今回はそこからさらに一歩進んで、「あなた専用の記録作成アシスタント(Gems)」を作る魔法をお伝えします。
複雑な「SOAP形式」の記録も、感情的になりがちな「ヒヤリハット報告」も、AIがあなたの専属秘書のように自動で清書してくれますよ。
目次
- 1. はじめに
- 2. 現場で「時間が溶ける」3大業務と未来の姿
- 3. 解決策:あなた専用のアシスタント「Gems」とは?
- 4. 実践レシピ1:面談記録Gems(コピペで使えるプロンプト付き)
- 5. 実践レシピ2:申し送り要約Gems
- 6. 導入効果とプロの視点:AIを使うことへの罪悪感を捨てよう
2. 現場で「時間が溶ける」3大業務と未来の姿
「思い出しながら書く時間」をゼロにする
特養などの現場で、皆さんの時間を奪っている「3大・記録業務」。AI(Gems)を導入すると、現場は以下のように変わります。
| 業務の悩み | ❌ Before (すべて手作業) |
✅ After (Gemsを利用) |
|---|---|---|
| 毎日のケース記録 | 「Aさんがむせ込んだ」という事実を、後輩が見てもわかるように頭をひねって客観的な文章に直すのに15分かかる。 | スマホへの音声入力(乱暴な言葉でもOK)を投げるだけで、2秒で完璧なSOAP形式に変換される。 |
| 家族との面談記録 | 1時間の面談中、メモを取るのに必死。面談後、殴り書きのメモを解読しながら報告書にまとめるのに1時間残業。 | メモはキーワード(単語)だけ。それをGemsに投げると、主訴と課題が整理された正式な面談記録が一瞬で完成。 |
| ヒヤリ・ハット報告 | 「私が目を離したせいで…」と感情的な文章になり、事実関係が伝わらず書き直しを命じられる。 | 焦ったままの殴り書きを投げても、感情と事実(起きたこと)を綺麗に分離して報告書にしてくれる。 |
3. 解決策:あなた専用のアシスタント「Gems」とは?
Vol.1では、「毎回Geminiに指示(プロンプト)を入力して清書してもらう」方法を紹介しました。
しかし、忙しい現場で毎回「以下の文章を特養の申し送り用に…」と打ち込むのは面倒ですよね。
そこで活用するのが、Google WorkspaceのGemini Advancedに含まれる「Gems(ジェムズ)」という機能です。
これは、「特定の役割(例えば『面談記録のプロ』)を事前に覚え込ませた、自分専用のAI」を作る機能です。
一度Gemsを作ってしまえば、次からは「ただのメモ書き」を送るだけで、自動的に指定したフォーマットの綺麗な記録ができあがります。
4. 実践レシピ1:面談記録Gems(コピペで使えるプロンプト付き)
それでは、「面談記録を箇条書きで分かりやすく整理してくれるアシスタント」を実際に作ってみましょう。
1. Google Workspaceの画面左側から「Gems マネージャー」を開き、「新しいGem」をクリック。
2. 名前を「家族面談まとめ君」などに設定。
3. 以下の「魔法のワード(指示書)」をコピペして保存するだけ!
あなたは特別養護老人ホームの優秀な記録作成アシスタントです。
私が面談中の「単語のメモ書き」を送るので、以下のフォーマットに従って、誰が読んでも分かりやすい客観的な面談記録を作成してください。
【出力フォーマット】
1. 家族の主訴(一番伝えたいこと・不安なこと)
2. 本人の様子・意向(把握できた場合)
3. 施設からの提案・説明したこと
4. 今後の対応方針・ネクストステップ(誰がいつまでにするか)
※です・ます調で、専門用語は控えめに、温かみがありつつ客観的な事実が伝わるように書いてください。
【使い方】
面談が終わったら、このGemsを開いて、面談中の殴り書きメモ(例:「長男、最近の食欲落ちてるの心配。施設側:とろみ食に変更提案、長男これに同意。明日からとろみ食開始。様子見て来週電話する」)をポンと送信するだけです。
5. 実践レシピ2:申し送り要約Gems(SOAP形式)
もう一つの大仕事、「日々のケース記録(申し送り)」を自動化するGemsも作っておきましょう。医療・福祉現場で標準的な「SOAP形式」で出力させるのがコツです。
あなたは施設の優秀な記録係です。
現場の職員から音声入力等による乱雑なメモが届きます。不要な感情語は省き、事実に基づいた客観的なSOAP形式の記録に変換してください。
【出力フォーマット(SOAP)】
S(Subjective):本人の訴えや発言
O(Objective):客観的な事実、バイタル、観察結果
A(Assessment):職員の専門的評価や推測
P(Plan):今後の計画、申し送り事項
※簡潔に箇条書きで出力してください。
6. 導入効果とプロの視点:AIを使うことへの罪悪感を捨てよう
「面談の記録をAIに書かせるなんて、利用者さんやご家族に対して不誠実ではないか?」
真面目な職員さんほど、こうした声(罪悪感)を口にされます。
しかし、逆の立場(ご家族の立場)で考えてみてください。面談中、ずっと下を向いてメモを取っている職員と、メモは最低限にして、目を見てしっかり受け止めてくれる職員。どちらが信頼できるでしょうか?
「記録を書くこと」自体は誰も幸せにしません。
AIに記録を任せるのはサボりではなく、「利用者さんとしっかり向き合うための、プロフェッショナルな時短術」です。何も後ろめたく感じる必要はありません。
次回(Vol.3)は、さらに文章作成のハードルが高い「個別支援計画(計画書作成)」の壁打ち相手としてAIを使う方法をご紹介します。お楽しみに!
【社会福祉施設を運営する事業者の方へ】
エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から運用ルール策定、今回紹介したようなGemsの構築支援まで、地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。
「Gemsの設定を一緒にやってほしい」「うちの施設専用のテンプレを作ってほしい」といったご要望があれば、ぜひお気軽にエスポイントまでご相談ください。
パソコンが苦手な職員の方でも、今日からすぐ使える『仕組みづくり』を全力でサポートいたします。
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