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2.業務一覧表の作り方|全体像を把握し改善の土台を作る

作成者: エスポイント合同会社|2024年12月1日

前回の記事「業務プロセス最適化とは?基礎知識とその重要性」では、業務プロセス最適化の基本概念と重要性を解説しました。中小企業が環境変化や顧客ニーズに柔軟に対応し、リソースを最大限に活用するためには、全社的な業務フローの再点検が欠かせません。その第一歩となるのが「業務一覧表」の作成です。業務一覧表は、組織内に存在するすべての業務を洗い出し、可視化することで、属人化や非効率、冗長性といった問題点を明確にし、効果的な改善策を導くための土台となります。本記事では、業務一覧表の目的とメリット、必要な情報項目、具体的な作成ステップ、そして実務で活用する際のポイントや成功事例を紹介します。これをマスターすれば、自社の業務実態を正確に把握し、次なる改善策(手順書作成、ナレッジマネジメント構築、自動化ツール導入など)へとスムーズにつなげることができるでしょう。

目次

  1. 業務一覧目的メリット
  2. 業務一覧含める情報項目
  3. 業務一覧作成具体ステップ
  4. 実務活用ポイント成功事例
  5. まとめ
  6. 補足コンテンツ(テンプレート・チェックリスト)

このサイトでは、中小企業が業務プロセスの最適化を実践し、持続的な成長を実現するための総合的な情報を提供しています。全体像や関連する記事は「業務プロセス最適化ガイド|全15ステップで基礎から応用まで」でご覧いただけます。

1. 業務一覧表の目的とメリット

業務一覧表は、組織全体の業務を「見える化」し、現状を客観的に把握するための強力なツールです。以下のような目的とメリットがあります。

  • 全体像の俯瞰
    部門・担当者・業務内容が社内に分散している状態では、組織全体の稼働状況や課題点が見えにくくなります。業務一覧表を作成すれば、誰がどのような業務をいつ、どれだけ行っているかを一望でき、意思決定者は短時間で全体像を理解可能です。

  • 属人化・非効率の可視化
    「Aさんしか知らない特定手順」や「二重入力が多い工程」「明らかに不要な承認ステップ」といった問題点が一覧化によって表出します。これにより、改善の優先度や手法が明確になり、的確な対策を打てるようになります。

  • 改善計画の基盤構築
    業務一覧表は、後続の最適化活動(作業手順書整備、マニュアル化、RPA導入、ペーパーレス化、平準化など)を進めるうえでの出発点です。現状分析がしっかりできていれば、改善策立案時の手戻りを減らし、プロジェクトの成功確率を高められます。

2. 業務一覧表に含めるべき情報項目

業務一覧表が有用な資料となるには、必要な情報を適切に整理することが大切です。基本的には以下の項目を含めると良いでしょう。

  • 業務名:業務を一言で表す名称(例:受発注処理、月次報告書作成、顧客問い合わせ対応)
  • 担当部署・担当者:誰が主に行っているか、複数部門が関与する場合はその関係性も示す
  • 頻度・所要時間:業務が日次・週次・月次・不定期か、1回あたりどの程度の時間がかかるか
  • 使用ツール・システム:Excel、会計ソフト、ERP、クラウドストレージなど、関係ツールを明記
  • 業務区分(定型・非定型):定型(繰り返し)業務か、状況に応じて変わる非定型業務かを明らかに
  • 属人化状況・問題点備考:特定人物しか対応できない、情報が散在している、二重入力あり、などの課題点をメモ

このような情報を列挙することで、後ほどフィルタリングや並び替えがしやすくなり、「非定型業務だけ集める」「特定ツールを使う業務だけ抽出する」といった分析が可能となります。

3. 業務一覧表作成の具体的ステップ

業務一覧表作成は、以下のステップで進めるとスムーズです。

(1) 初期準備と範囲設定
まず、どの範囲で業務を洗い出すかを明確にします。全社的な棚卸しが理想的ですが、時間やリソースが限られる場合は、特定部署や重要度の高い部門から始めても構いません。最終的な目標は全社的な見える化ですが、段階的なアプローチもあり得ます。

(2) 情報収集(ヒアリング・資料参照)
業務担当者へのヒアリングや、既存のマニュアル、日報、スケジュール表、実績データなどを活用します。ここでは「網羅性」が重要です。細かいルーチン業務や一見些細な作業も漏れなくリストアップしましょう。後から不要なものはフィルターできますが、抜け漏れがあると全体像が歪み、改善策立案に支障が出ます。

(3) 表形式への整理
ExcelやGoogleスプレッドシートなど、表計算ソフトを用いて前述の情報項目を列に設定し、収集した業務を一行ずつ入力します。ここで実務に沿ったカスタマイズ(列追加や色分け、カテゴリーラベル設定など)を行い、後の分析がしやすい形に整えます。

(4) 担当者レビューと修正
一覧表が暫定完成したら、関係者(部署責任者やチームリーダーなど)にレビューしてもらいます。漏れや誤記載を修正し、表現揺れを整え、全体的に一貫性のあるフォーマットに仕上げましょう。ここでのレビューが精度向上と信頼性確保につながります。

(5) 定期的な更新と保管
業務一覧表は静的な資料ではなく、組織変化に応じて更新が必要です。新業務発生、ツール変更、担当者交代などがあれば反映しましょう。また、共有ドライブやナレッジベースに保管し、必要な人が常に最新情報にアクセスできる状態を確保します。

4. 実務活用ポイントと成功事例

業務一覧表は、ただ作るだけで終わりにせず、実務で有効に活用することが重要です。

  • 課題抽出と優先度付け
    業務一覧表から「所要時間が長い定型業務」「属人化が顕著なタスク」「明らかに無駄な二重工程」などを抽出し、改善インパクトが大きい順に対策を練ります。たとえば、「毎日2時間かけている在庫確認」があれば、自動化やマニュアル化で短縮できる可能性を検討できます。

  • 現場担当者との合意形成
    一覧表は現状を客観的に示す資料として、現場担当者とのコミュニケーションツールにもなります。「この業務、本当に必要ですか?」といった問いかけがしやすくなり、納得感のある改善策合意形成を促します。

  • 成功事例:ある中小製造業のケース
    ある中小製造業では、業務一覧表を作成したところ、多くの手入力が行われる在庫管理業務が非効率であることが判明。これを機にバーコードスキャン導入と在庫管理ソフト活用で作業時間を50%削減。その結果、生産計画の精度向上や顧客への納期厳守率アップにつながりました。こうした成功体験は社員のモチベーションも高め、さらなる改善プロジェクトへの前向きな空気を生み出します。

  • ITツールとの組み合わせ
    業務一覧表はツール導入時の指針としても有効です。「どの業務がツール化に最適か」「どのツールが必要か」を明確にし、RPAやナレッジマネジメントツールの選定根拠とします。

まとめ

業務一覧表は、組織全体の業務を「見える化」することで、現状を客観的に理解し、改善の優先度や方向性を明確にするための強力なツールです。これを起点に、作業手順書整備やマニュアル化、ナレッジ共有、定型業務の自動化、ペーパーレス化、平準化、オペレーショナルエクセレンス定着など、より高度な業務最適化ステップへと進んでいくことが可能になります。

全社的な視点で業務を俯瞰すれば、改善の「どこから始めるか」が自明になり、効果的な投資とリソース配分が行えます。次回の記事では、「作業手順書の作り方」を解説し、属人化対策や品質安定化への具体的プロセスを紹介します。この流れに沿って知識を積み重ねれば、中小企業でも持続的な成長と競合優位性確保が実現しやすくなるはずです。

業務プロセス最適化や業務一覧表作成に関して、専門的なサポートやコンサルティングをお求めの場合は、エスポイントまでお気軽にお問い合わせください。 貴社固有の課題や目標に合わせ、最適な改善策やツール導入支援、運用定着化のサポートをご提供します。

本シリーズの全体構成や他の関連記事は業務プロセス最適化ガイド|全15ステップで基礎から応用までで確認できます。

補足コンテンツ(テンプレート・チェックリスト)

  • 業務一覧表テンプレート
    → 本記事で解説した項目があらかじめ設定されたテンプレート。ダウンロードして自社ニーズに合わせてカスタマイズし、即活用可能です。

  • 業務ヒアリング質問リスト
    → 業務洗い出し時に担当者へ質問する際のサンプルリスト。聞き取りの効率を上げ、重要な情報を漏らさないためのガイドとして活用してください。

*テンプレートのPDF内にGoogle Spreadsheetのリンクがあります。適宜コピーの上ご活用ください。