中小企業が業務プロセス最適化を進めるうえで、欠かせないのが「作業手順書(SOP: Standard Operating Procedure)」の整備です。...
5.マニュアル作成のコツ|失敗しない作り方と運用時のポイント

業務プロセス最適化を進めるうえで、「マニュアル」の存在は欠かせない要素です。 これまでの連載では、業務一覧表を用いた全体像の把握や、作業手順書の具体的な作り方、平準化による負荷分散などを紹介してきましたが、実際に現場でそれらを運用し続けるためには、誰もがわかりやすく参照できるマニュアルが必要になります。
現在は、ハイブリッドワークの定着や人手不足への対応として、単なる「静的な文書」から、検索性が高く、動画やAIによるサポートも受けられる「動的なナレッジベース」への進化が求められています。 本記事では、マニュアル作成における不変の原則を大切にしつつ、現代の技術を賢く取り入れた「失敗しない作り方」と「運用のコツ」を解説します。
(このサイトでは、中小企業が業務プロセスの最適化を実践し、持続的な成長を実現するための総合的な情報を提供しています。全体像や関連する記事は「業務プロセス最適化ガイド|全15ステップで基礎から応用まで」でご覧いただけます。)
目次
1. マニュアルと作業手順書の違い
「マニュアル」と「作業手順書(SOP)」は、いずれも業務標準化に役立つ文書ですが、その役割と視点が異なります。

- マニュアル:業務全体を俯瞰するための「ガイドブック」です。業務の背景、目的、関連部署との連携ルール、リスク管理など、包括的な情報をまとめます。
- 作業手順書(SOP):特定の作業を正確に遂行するための「指示書」です。画面操作や物理的な動作など、具体的なステップを詳細に記述します。
現代の組織では、これらを統合した「デジタルナレッジベース」として運用し、概要をマニュアルで、詳細は手順書(または解説動画)で確認できる構成にすることが推奨されます。
2. よくある失敗例とその原因
マニュアルが形骸化してしまう主な原因は以下の通りです。

- 情報の過密度:詳細に書きすぎて、どこが重要か分からず敬遠される。
- 陳腐化:一度作成したら放置され、最新のシステムやルールと乖離する。
- アクセス性の低さ:特定のPCでしか見られない、検索できないなど、必要な時にすぐ見つからない。
- ターゲットの不在:誰に向けて(新人向けかベテラン向けか)書かれたものかが曖昧。
3. マニュアル作成の基本ステップとコツ
失敗を避けるためには、以下のステップで体系的に作成を進めます。
(1) 目的とスコープの明確化
「新人の早期戦力化」なのか「品質の均一化」なのか、狙いを定めます。全ての情報を詰め込むのではなく、目的達成に必要な範囲に絞ることが重要です。
(2) 情報の洗い出しと構成設計
業務フロー図をベースに、掲載すべき情報を整理します。
- 業務の意義(なぜこの作業をするのか)
- 全体像(前後工程とのつながり)
- 承認フローやセキュリティルール

*「業務マニュアルテンプレート」は、記事末尾の補足コンテンツからダウンロードいただけます。
(3) 作成作業(効率化Tips)
💡 Tips:生成AIの活用
既存のメモや手順書の下案をAIに入力し、マニュアル形式の構成案を作成させることで、執筆の初動を大幅に短縮できます。ただし、最終的な「現場特有の勘所」は人間が判断し、追記する必要があります。
💡 Tips:マルチメディア化
複雑な操作はテキストだけでなく、短い解説動画へのリンクを配置することで、読解の負担を劇的に下げることができます。
(4) レビューと周知
想定読者にテスト運用してもらい、不明瞭な点を修正します。完成後は、社内チャットやミーティング等で「探し方」を含めて周知します。
4. 運用時のポイント|更新とメンテナンスの仕組み
マニュアルの価値は「鮮度」で決まります。維持管理を仕組み化しましょう。

*「マニュアルメンテナンスチェックリスト」は、記事末尾の補足コンテンツからダウンロードいただけます。
- オーナーの明確化:部署ごとに管理責任者を決め、更新を評価対象にする。
- フィードバックの簡素化:気づいた人がその場で「ここが古い」とコメントできるフォーム(Googleフォーム等)を用意する。
- 定期監査(スマート・リサーチ):半年に一度など見直し期間を設け、AIツールを用いて「変更されたシステム画面」とマニュアルの差異を自動検出するなどの取り組みも広まっています。
- クラウド管理の徹底:検索性に優れたWikiツール(Notion, Google Sites等)を活用し、「マニュアルを探す時間」をゼロに近づけます。
まとめ
マニュアルは「一度作って終わり」の完成品ではなく、現場の知恵を吸い上げながら成長し続ける「生きている資産」です。 伝統的な明文化の重要性を維持しながら、動画やAIによる効率化を取り入れることで、組織のパフォーマンスは格段に安定します。
次回は、これら一連の取り組みを組織文化として根付かせるための考え方、「6.オペレーショナルエクセレンスの基本」について解説します。
マニュアルのデジタル化(社内Wiki化)や、AIを活用したナレッジ管理体制の構築に課題をお持ちの場合は、エスポイントまでお気軽にご相談ください。貴社の文化に合わせた「使われるマニュアル」への変革をサポートいたします。
本シリーズの全体構成や他の関連記事は「業務プロセス最適化ガイド|全15ステップで基礎から応用まで」で確認できます。
補足コンテンツ(テンプレート・チェックリスト)
- マニュアルテンプレート
→ 全体フローや対応部署などを網羅した標準フォーマット。 - マニュアル 運用メンテナンスチェックリスト
→ 更新漏れを防ぎ、鲜度を保つための運用管理ガイド。
*テンプレートのPDF内にGoogle Spreadsheetのリンクがあります。適宜コピーの上ご活用ください。