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「ファイルが見つからない」問題に終止符を。Google ドライブによる脱・ファイルサーバーの実践ガイド|中小企業のためのGoogle Workspace活用術 第3回

「ねぇ、先月の取締役会の資料ってどこに保存したっけ?」

「社内サーバーの『03_会議体』の中の『2023年度』直下にある『役員会(仮)』というフォルダじゃないですか?」

「いや、そこには『議事録_最新版_v2_最終.docx』しかないぞ。どれが本当の最新なんだ…?」

オフィスで日常的に繰り広げられる、この「ファイル探し」と「最新版の確認」のやり取り。一見些細な手間に思えますが、社員全員が毎日数分〜数十分をファイル探しに費やしているとすれば、会社全体でどれほどの「見えない人件費」をドブに捨てていることになるでしょうか。

古いNASやオンプレミスのファイルサーバーを運用し続けている中小企業が、真っ先に取り組むべきDXの第一歩。それが「Google ドライブを活用した完全な脱・ファイルサーバー」です。

本記事では、単行のクラウドストレージ化にとどまらない、Google ドライブによる「ファイル管理の概念」そのものを変革する実践的なアプローチを解説します。

目次

1. 階層管理の限界:「整理する」から「検索で一瞬で出す」時代へ

2. 中小企業がよく陥る罠:「マイドライブ」での共有は危険

3. 組織の資産を鉄壁にする「共有ドライブ」の正しい運用

4. 「最新版_v3_最終」からの卒業:バージョン管理の不要化

5. まとめ:探す時間をゼロにし、本来の業務に向き合う

1. 階層管理の限界:「整理する」から「検索で一瞬で出す」時代へ

Windowsのフォルダのように「大分類フォルダ > 中分類フォルダ > 小分類フォルダ…」と深く階層化して整理していく手法は、ファイル数が少ないうちは機能します。しかし、数年分の業務データが蓄積していくと、必ず「人によって保存場所のルール解釈が違う」という限界にぶつかります。

「あのファイルは『顧客別フォルダ』に入れるべきか、それとも『プロジェクト別フォルダ』に入れるべきか…」と迷い、結局誰も辿り着けない迷宮が出来上がるのです。

Google ドライブにおける最大のパラダイムシフトは、「フォルダでの整理に依存せず、圧倒的な『検索』の力でファイルを引き出す」という考え方です。

Googleはそもそも「検索エンジン」の世界的企業です。Google ドライブの検索窓は、単にファイル名を検索するだけでなく、ファイルの中身(PDFの中の文章や、画像内の文字まで自動解析)まで一瞬で検索してくれます。「あの時、たしか〇〇というキーワードを入れた提案書を作ったはず…」という記憶の断片だけで、目的のファイルに一発で辿り着くことができます。

「綺麗にフォルダ分けする時間」も「階層を掘って探す時間」も、一気にゼロになるのです。

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ファイルの種類や作成時期、作成者で検索することも可能

2. 中小企業がよく陥る罠:「マイドライブ」での共有は危険

Google ドライブを導入して間もない企業が、ほぼ必ずと言っていいほど陥る失敗があります。それは、個人のアカウントに紐づく「マイドライブ」の中に業務用のフォルダを作り、それを他の社員に「共有」して運用してしまうことです。

なぜこれが危険なのでしょうか。

マイドライブに作成されたファイルの「所有権」は、あくまでそのファイルを作った「個人(作成者)」にあります。もし、マイドライブ内で大量の社内共有資料を作っていた社員が退職し、そのアカウントを削除してしまった場合、どうなるでしょうか?

退職者が作成したファイルもろとも、社内からアクセスできなくなってしまうのです。

部署異動の際にも、「ファイルの所有権を、新しい担当者に一つひとつ手動で譲渡する」という、途方もないアナログ作業が発生してしまいます。

3. 組織の資産を鉄壁にする「共有ドライブ」の正しい運用

そこで中小企業の経営インフラとして絶対に活用すべきなのが、Google Workspaceの有料プラン(Business Standard以上)で提供される「共有ドライブ」です。

共有ドライブの最大の特徴は、そこに保存されたすべてのフォルダやファイルのファイルの所有権が、特定の個人ではなく「会社(組織)」に属するという点です。

共有ドライブ導入のメリット

  • 属人化の完全排除: 誰が退職しようが、異動しようが、ファイルはそのままの場所に残り続け、残されたメンバーは一切の影響を受けずに業務を継続できます。
  • 強固な権限管理: 「営業部ドライブ」「全社公開ドライブ」「経営幹部用ドライブ」など、目的別に金庫(共有ドライブ)を分け、それぞれに「閲覧のみ」「編集可能」といった厳密なアクセス権を設定できます。
  • 情報漏洩の防止: 「この共有ドライブ内のファイルは、社外の人には絶対に共有予約できないようにする」といった管理者レベルでのロックがかけられるため、ヒューマンエラーによる持ち出しを防ぎます。

「個人の引き出し(マイドライブ)」ではなく、「会社のキャビネット(共有ドライブ)」を正しく設計し、運用ルールを敷くこと。これが脱・ファイルサーバーの肝となります。

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4. 「最新版_v3_最終」からの卒業:バージョン管理の不要化

ファイルサーバー運用のもう一つの大きなストレスが、「同じファイルを複数人で同時に編集できない」という点です。「誰かが開いているから読み取り専用になってしまう」ため、コピーを作って名前を変え、結果として「どれが最新版かわからない問題」が引き起こされます。

Google ドライブ上のドキュメントやスプレッドシートは、複数人が同時にアクセスし、同じカーソルを見ながらリアルタイムで編集できます。

さらに、強力な「変更履歴機能」が自動で裏側で動いているため、「誰が、いつ、どこを書き換えたか」がすべて記録されています。「間違って消してしまったから、今日の朝10時の状態に戻したい」という場合も、数クリックで完全に復元可能です。

つまり、「ファイル名に日付やv2といったバージョンをつける」というアナログな文化そのものがシステム上で不要になるのです。

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同じファイルを複数人が同時に編集可能

5. まとめ:探す時間をゼロにし、本来の業務に向き合う

Google ドライブへの移行は、単なる「データのお引越し」ではありません。「階層管理から検索へのシフト」「個人の所有から会社の資産への進化」、そして「同時編集によるスピードアップ」という、働き方そのもののアップデートです。

  1. 強力な検索でファイルを探す時間をなくす

  2. 「共有ドライブ」で情報を会社の資産として堅守する

  3. バージョン管理・名前づけルールから社員を解放する

この環境を整備することで、社員は「ファイルを探す・整理する」という非生産的な過去の作業から解放され、「新しい価値を生み出す」という本来の未来の業務に集中できるようになります。

まずは、社内で最も煩雑になっている「あの共有フォルダ」を一つ、共有ドライブに移行してみることから始めてみませんか?次回の第4回では、さらに一歩進んだ「DX」の形――アナログな紙とハンコによる承認リレーを終わらせる、Google FormとAppSheetを活用した「自社専用ワークフローの構築」について解説します。

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【宮城・仙台の中小企業様へ】

エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から「共有ドライブの最適なフォルダ設計・権限ルール策定」、さらには社内浸透を促す業務改善サポートまで、地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。

「今のファイルサーバーからどう移行していいか分からない」「自社に合った共有ドライブの設計をしてほしい」とお悩みの方は、お気軽にエスポイントまでご相談ください。貴社の情報資産を守る、最適な仕組みづくりをご提案いたします。

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