Google WorkspaceのAI活用、まず何から始める?|自社に合う仕事の選び方
「AIを使えば楽になりそう。でも、どの仕事から試せばいいのか分からない」。Google WorkspaceやGeminiを検討していても、日々の業務が忙しいと、準備や勉強が増えることのほうが気になるかもしれません。
最初から会社全体の仕事を変える必要はありません。たとえば、毎回少し面倒に感じる打ち合わせメモの整理。材料が手元にあり、担当者が結果を確かめられる仕事なら、試した後の違いも分かりやすくなります。
繰り返しがあり、材料があり、人が確かめられる。この三つがそろう仕事を、一つ選ぶ。 それが、自社でAIの使いどころを探す出発点です。
この記事で分かること
- 最初に試す仕事を選ぶ三つの目安
- AIに手伝ってもらう準備と、人が確認することの分け方
- 大きな測定表を作らず、自社に合うかを確かめる方法
目次
最初は、答え合わせができる仕事を選ぶ
AIに何を任せられるかを考えると、つい大きな仕事を思い浮かべます。問い合わせを全部任せる、提案書を完成させる、社内の質問に何でも答える。便利そうですが、最初に試すには、必要な情報も確認する範囲も広くなります。
日頃くり返している仕事のうち、「材料を読む」「要点を抜き出す」「下書きを作る」といった準備の部分から考えてみてください。
| 選ぶ目安 | 問い |
|---|---|
| 繰り返しがある | 来週も同じような作業をするか? |
| 材料がある | メモや資料など、整理する元の情報があるか? |
| 人が確かめられる | 担当者が見て、抜けや間違いを直せるか? |
この目安なら、毎週の会議メモ、社内向けの報告文、よくある質問への回答案などが候補になります。繰り返しがあると、頼み方を一度直した経験も次に使えます。
反対に、担当者自身にも正誤が分からない内容は、AIの文章が自然だという理由だけで使うのは難しいものです。価格や契約条件を顧客へ伝える場合も、下書きの準備にAIを使うことと、会社として条件を確定し約束することは、分けて判断します。
最初は「一つの仕事を全部」より、「その仕事の準備を一部分」くらいのほうが、良かった点も困った点も見えやすくなります。
たとえば、問い合わせ対応を試すなら、回答の送信まで一度に任せず、受け取った質問と確認が必要な点を抜き出すところから始められます。担当者がその整理を見て「ここが分かると返しやすい」と感じられるか。準備のどこが役立つかを確かめれば、次に回答案まで広げるかも判断しやすくなります。
打ち合わせメモの整理なら、こんなふうに始める
たとえば、総務担当者が毎週の社内打ち合わせのメモをまとめる場面を考えてみます。次の予定がある日は整理が後回しになり、翌日、記憶をたどり直すこともあります。
この担当者がAIに手伝ってもらうのは、メモから「決まったこと」「担当者と期限」「まだ確認が必要なこと」を整理する作業です。
たとえば、「このメモを『決まったこと』『担当者と期限』『確認が必要なこと』の三つに整理してください。書かれていないことは補わず、曖昧な点は確認事項として残してください」と頼みます。
元のメモに「申請書の記入例を共有フォルダに追加する。担当は次回決める。来週から使えそう?」とあったら、決まったのは記入例を追加することまで。担当者も期限も未決定で、「来週」はまだ案です。確認事項には、誰が担当し、いつから使い始めるかを残します。
AIの整理結果が読みやすくても、「総務担当者が来週までに追加する」と書かれていたら修正が必要です。話に出た案を、AIが決定事項に変えていないか。元のメモと比べるときは、この違いを確かめます。
| この仕事で考えること | 試し方の例 |
|---|---|
| 困っていること | 打ち合わせ後の整理が遅れ、引き継ぎも遅くなる |
| AIが手伝う準備 | メモを決定事項・担当者と期限・確認事項に整理する |
| 人が確かめる点 | 未決定の担当者や期限が、決定済みになっていないか |
| どう変わるとうれしいか | 当日中に共有でき、翌日聞き直さずに済む |
Google Workspaceで試す場合は、利用できるGeminiの機能と、会社で扱ってよい情報の範囲を確認します。ドキュメントなどに共有する際も、関係者が見られればよく、全員に公開する必要はありません。
AIの整理結果が長すぎるなら、項目ごとに短くしてもらいます。毎回同じ条件が抜けるときは、まず元のメモに記録があるかを確かめます。記録がなければ、担当者に確認してメモへ追記します。記録があるのにAIが省いているなら、その項目を必ず残すよう指示文に加えます。
最初から完璧な指示文を作る必要はありません。実際に試して困った箇所を一つずつ直していきましょう。
古い資料のまま「正確に」と頼んでも解決しない
別の例として、問い合わせへの回答案を作ったら、古い価格が書かれていたとします。AIに「必ず正確に」と頼み直しても、渡した資料が古ければ、原因は残ったままです。
この場合は、まず最新の価格表がどれかを確かめます。そのうえで、普段AIに参照させている資料に旧版が混ざっていないかを調べます。文章の頼み方だけで解決しようとすると、同じ修正を繰り返すことになります。
「参照した資料どおりに書かれている」と「今、この顧客へ案内してよい」は別の確認です。旧版の価格を忠実に抜き出していても、現在の回答には使えません。更新日だけで決められない場合もあります。新しい資料が別の商品向けなら、今回の問い合わせに合う条件かを、業務を知る人が確かめる必要があります。
だからといって、全社のファイル整理を終えなければ始められないわけではありません。最初に試す仕事で使う資料を決め、その内容が今の条件に合っているかを確認します。資料同士で条件が違うなら、その点を担当者へ確認してから使います。
この例なら、まず問い合わせの対象商品に合う価格表を選び、その資料から回答案を作り直します。回答案が直ったら、次回も使う資料を確かめられるよう、普段使う指示文も見直します。毎回コピーする指示文に古い価格表のリンクが残っていたら、今回確認した価格表のリンクへ差し替えます。一度出た回答の数字だけを修正して終えると、次の問い合わせでも同じ手直しが必要になるからです。
人が確認するためにも、元の資料へ戻れることが大切です。要約だけを保存して根拠が分からなくなると、後から別の人が続きを引き受けにくくなります。
試した結果が期待と違うときは、直す場所を分けてみてください。文章が長すぎるなら、頼み方を変える余地があります。必要な条件が元のメモにないなら、記録を補います。資料の内容が古いなら、参照する情報を更新します。どの場合も「もっと正確に」と頼むだけでは、何を直すべきかがAIにも担当者にも伝わりません。
こうした整理は、AIを使わないときにも役立ちます。「AIが間違えた」で終わらせず、材料や受け渡し方のどこを直すと次が楽になるかを見てみましょう。
楽になったかは、確認する人の手間も含めて見る
何度か試したら、まず、選んだ困りごとが減ったかを振り返ります。メモの例なら、当日中に共有できたか、翌日に聞き直す場面が減ったかです。
同時に、確認や修正にかかる負担も見ます。下書きは速くても、毎回ほとんど書き直しているなら、まだ使い方が合っていないかもしれません。対象を短いメモに絞る、整理する項目を減らすなど、負担の原因に合わせて変えられます。
初回は操作を覚える手間もあるので、一度時間がかかっただけで合わないとは限りません。ただ、慣れた後も元の資料を読み直してほぼ全部作り直すなら、その用途ではあまり負担が減っていないでしょう。「AIが出力するまで」と「人が安心して使えるまで」を分けて考えると、使い続ける価値があるかを判断しやすくなります。
最初は、「役立ったところ」と「かえって手間だったところ」を一言ずつ残す程度でも、次の試し方を考える材料になります。導入前のやり方も覚えているうちに簡単に残しておくと、比べやすくなります。
続けるか、利用人数を増やすかを判断する段階では、必要に応じて作業時間や件数を加えます。時間を比べるなら、人が確認し終わるまでを含めます。毎週行う仕事と月末だけの仕事では、変化を確かめられるまでの期間も違います。
試して合わなければ、その仕事はいったん以前のやり方に戻して構いません。資料の要約は役立つが、回答文の作成は修正が多い、と分かるだけでも、次にどの作業でAIを使うか決めやすくなります。
新しい契約が必要かは、今の環境を見てから考える
使ってみたい機能が見つかっても、最初に確認するのは現在の契約です。Google Workspaceを利用中なら、そのプランと管理者設定で何が使えるかを調べます。AI機能の提供範囲は変わるため、導入時点の条件で確認してください。
費用は、既存契約に含まれる範囲で試す場合と、プラン変更や新規契約をする場合で変わります。「AIを使うから契約費用をすべて新しい負担と考える」「機能が含まれているから手間も費用もゼロと考える」のどちらも、実態とずれることがあります。
初期設定や資料の準備、利用者への説明にかかる手間も含め、自社で進める部分と支援が必要な部分を考えます。小さく試すことには、使い方だけでなく、導入に必要な準備を知る意味もあります。
相談の前に、細かい計画を完成させなくてよい
「今はこのツールを使っている」「この仕事が毎回つらい」「使うのはこのくらいの人数」。この程度が分かれば、相談を始める話題になります。困っている作業を、普段の言葉でお聞かせください。
エスポイントでは、Google Workspaceのプラン選定、初期設定、移行、利用定着を支援しています。現状の環境で試せることは何か、導入するなら何を準備するか、社内で確認を担えるか。自社に合う始め方を整理する段階からご相談いただけます。
相談したうえで必要な作業や支援の範囲を決め、費用を確認して進めます。AIを使うこと自体を目標にせず、選んだ仕事が少し進めやすくなるかを、一緒に考えていきます。
よくある質問
IT担当者がいなくても始められますか
業務を分かっている人が、結果を確かめられる一つの用途から考えられます。会社で利用を認めたサービスか、情報を扱ってよい範囲はどこかが分からない場合は、管理者や支援先に確認します。
機密情報を使わないと、自社の仕事では試せません
実際の情報を入れる前に、契約しているサービスのデータ保護条件と社内ルールを確認します。最初は機密を含まない社内文書など、扱える材料が明確な用途を選ぶ方法もあります。
必ず時間削減の目標を決める必要がありますか
導入の目的によります。残業を減らしたいなら時間が役立ちますが、引き継ぎの遅れを減らしたいなら共有のタイミングも見ます。何を良くしたいかを先に決め、それを確かめるために必要な記録を選びます。
