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「記録・報告」に追われる毎日から卒業しよう|社会福祉施設のためのGoogle Workspace & Gemini活用術 Vol.1

作成者: エスポイント合同会社|2025年12月17日

想定読者: 「パソコンに向かう時間をもっと減らして、利用者さんと向き合いたい」と願う、すべての福祉現場職員・管理者様

ゴール: 「AIなんて難しそう」という気持ちを手放し、明日から自分の声でスマホに語りかけるだけで仕事が終わる体験をしてもらうこと。

1. はじめに

「今日もパソコン作業だけで1時間残業…」

「利用者さんの目を見て話したいのに、つい時計や手元のメモ帳を気にしてしまう…」

福祉の最前線で働く皆さん、毎日本当にお疲れ様です。
社会福祉の仕事は、人と人とが触れ合う「対人援助」が本質です。しかし現実はどうでしょう。厚生労働省の調査によると、介護職員の業務時間のうち約20〜30%が「記録・報告」などの間接業務に奪われていると言われています。

本連載では、Google Workspace と生成AI Gemini という今話題のツールを超・実用的に使い倒し、皆さんの「時間がない」という痛みを解決する方法を全5回でお届けします。

第1回は、最もハードルが低く、かつ効果が絶大な「音声入力」について。「スマホに話しかけるなんて恥ずかしい」という方にこそ読んでほしい、現場目線の第一歩です。

目次

1. なぜ福祉現場に「AI」が必要なのか?

慢性的な人手不足と、見えない「感情労働」

福祉業界の採用難は、現場の皆さんが一番肌で感じていることでしょう。「人が増えないなら、今いるメンバーで必死に回すしかない」。そうやって無理を重ねていませんか?

疲れ切った状態では、どんなに高い志があっても、利用者さんに優しい笑顔は向けられません。
だからこそ、「業務の仕分け」が必要なのです。

福祉の仕事は、大きく2つに分けられます。

  1. 感情労働(ケア): 利用者さんの手を握る、目を合わせて話を聞く、一緒に笑い合う。これは絶対に「人間」にしかできません。
  2. 情報処理(記録・事務): 日々の申し送り、シフト作成、行政への報告書作成。こちらは「機械(AI)」が圧倒的に得意な領域です。

Google WorkspaceとAIを導入する最大の目的は、後者の「情報処理」を極限まで圧縮し、皆さんが本来やりたかった「感情労働(ケア)」の時間をたっぷりと取り戻すことなのです。

2. Google Workspaceが作る「シームレスな業務フロー」とは?

本連載のキーワードとなるのが「シームレスな業務フロー(データの連携)」という考え方です。

ITツールを導入して失敗するパターンの多くが、「現場がシステムに合わせて無理やり業務を変える」こと。しかし、Google Workspaceの考え方は逆です。Googleの様々なアプリ(ドキュメントやチャット、カレンダー)を、レゴブロックのようにつなぎ合わせて「自分たちのやりやすい業務フロー」を作るのです。

❌ 従来の
「分断された」ツール(点)
✅ Google Workspaceによる
シームレスな連携(線)
・紙のメモを見て、パソコンでWordを立ち上げる
・Excelで作ったシフトをLINEで送信する
・別々のIDとパスワードで何度もログインする
スマホで喋った内容が、現場のチャットに即座に流れる
スケジュールを入れると、Web会議URLが自動発行される
・一つのGoogleアカウントですべてが完結する

3. 明日から使える!「音声入力 × Gemini」活用術

さて、ここからが本題です。難解なプログラミングは一切不要。明日、施設に着いたらすぐに試せる一番簡単な第一歩をご紹介します。

ステップ1:まずは「独り言」を文字にしてみる

スマートフォン(業務用でも個人のものでも可)を取り出し、Googleドキュメント(またはKeepアプリ)を開いてください。
キーボードのマイクボタンを押し、今日あったことを話しかけてみてください。

「Aさんが夕食時にむせ込んでしまったので、少し背中をさすって様子を見ました。その後は落ち着いて完食されました。」

驚くほど正確に文字化されるはずです。キーボードをポチポチ打つ手間の、10分の1以下の時間で終わります。

💡現場でのTIPS:いつ・どこで喋る?
「他の人がいる前でスマホに話しかけるのは恥ずかしい」という声はよく聞きます。
おすすめは、「居室から事務室へ戻る、廊下を歩く数十秒間」と、「トイレ休憩のついで」です。マスク越しでも、最近のスマホはきちんと音声を拾ってくれます。

ステップ2:Geminiに「プロの記録」へ清書させる

音声入力は便利ですが、どうしても「話し言葉」になります。公式なケース記録には少しカジュアルすぎますよね。そこでAI(Gemini)の出番です。

Google Workspaceの画面でGeminiを開き、先ほどの音声入力した文章を貼り付けて、こう指示を出します。

そのまま使える魔法のワード(プロンプト)
「以下の私のメモ書きを、特養の申し送りで使う『ケース記録』として、簡潔で客観的な箇条書きの文章に清書してください。」

【あなたのメモ】
「さっきAさんが夕食の時むせちゃって、背中さすったら落ち着いた。残さず食べたよ。」

すると、Geminiはほんの数秒で以下のように変換してくれます。

【Geminiの出力結果】

  • 発生状況:夕食摂取時にむせ込みあり。
  • 対応:背部タッピングを実施し、状態観察。
  • 結果:むせ込みは消失し、その後はむせることなく夕食を全量摂取された。

これをコピーしてシステムに貼り付けるだけ。もう「てにをは」や専門用語の言い回しで悩む必要はありません。

4. よくある質問(Q&A)

Q. 利用者さんの個人情報をAIに入力しても大丈夫なの?
A. ここが最も重要なポイントです!無料版のChatGPTやWeb上のAIサービスは、入力内容が学習データとして使われるリスクがあります。しかし、企業向けの「Google Workspace」に組み込まれたGeminiは、入力したデータがAIの学習に使われることは一切ありません。そのため、福祉現場でも安心して利用できます。※ただし、施設独自のセキュリティルールに従って「A様」「B様」など匿名化する癖をつけておくとさらに安全です。

Q. 訛り(方言)が強くても音声入力はできる?
A. Googleの音声認識は非常に優秀で、多少の方言なら文脈から標準語に近い形でテキスト化してくれます。もし変なふうに変換されても、直さずそのままGeminiに「さっきの文章、ちょっと方言混じってるけど、標準語で意味が通るように直して」と頼めば解決です。

5. プロの視点:導入のコツは「笑われること」から

プロの視点 エスポイント

「よし、今日から全員で音声入力をやろう!」と号令をかけても、現場は絶対に動きません。「また何やら面倒なことが始まった」と引かれてしまうのがオチです。

一番の近道は、まず「あなた自身がスマホに向かってブツブツ喋っている姿」を周りに見せることです。
最初は「〇〇さん、スマホになに話しかけてるの?(笑)」と笑われるかもしれません。しかし、あなたが涼しい顔をして「あ、これでもうケース記録の入力終わったよ。定時で帰るね」と言えば、周囲の目の色は一変します。「え、なになに?それどうやってるの?」と向こうから聞いてきた時が、組織のインフラ化が始まる瞬間です。

次回(Vol.2)は、今回の応用編。毎回指示を出す手間すら省く「面談記録を一瞬で作る、自分専用のAIアシスタント(Gems)の作り方」をご紹介します。お楽しみに!

【社会福祉施設を運営する事業者の方へ】
エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から運用ルール策定、その後の業務プロセス最適化まで、地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。

「まずは自分だけでも使ってみたい」「安全な環境設定だけ手伝ってほしい」とお悩みの方は、ぜひお気軽にエスポイントまでご相談ください。

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