「交通費の精算書、社長のハンコ待ちで3日止まっています」
「ちょっと有休取りたいだけなのに、申請書を印刷して、課長を探してサインをもらって…」
社内を見渡すと、未だに「紙とハンコ」によるアナログな申請リレーが幅を利かせていませんか? これらは決して「ちょっと面倒な作業」ではありません。意志決定を遅らせ、経理や総務の業務を圧迫する経営課題そのものです。
「わかってはいるけれど、高額なワークフロー専用システム(稟議システム)を導入する予算はないし、自社の複雑な承認ルートに合うシステムが見つからない」
そんな理由でペーパーレス化を諦めている中小企業に朗報です。実は、多くの中小企業がすでに契約している「Google Workspace」の中に、追加費用なしで自社専用のデジタルワークフローを構築できる強力な武器が眠っているのです。
本記事では、Google フォームと、ノーコード開発ツール「AppSheet」を活用した、脱・紙とハンコの実践ステップをご紹介します。
2. 専用システムは不要?「Google フォーム」で即日デジタル化
3. さらに一歩先へ:ノーコードの衝撃「AppSheet」の威力
4. どこからでも1タップで承認:経営層のスピードが劇的に変わる
紙ベースの申請・承認フローが抱える最大の問題は、「物理的な制約」に縛り付けられることです。
これらはすべて、「情報が紙という物理的な媒体に縛られている」ために起こる悲劇です。情報をデジタルデータに変換し、クラウド上で回覧する仕組み(ワークフローシステム)を作れば、これらの制約は一瞬で消滅します。
「ワークフローシステムを導入しよう」と調べ始めると、多機能で高額な専門ツールばかりが目につき、導入のハードルが高く感じられます。しかし、中小企業で日常的に発生する「社内備品の購入申請」や「有給休暇の手続き」程度であれば、大げさなシステムは不要です。
Google Workspaceをご利用中であれば、「Google フォーム」と「スプレッドシート」を組み合わせるだけで、簡易的な電子申請システムが即日完成します。
【Google フォームで作る簡易ワークフロー】
申請画面(Google フォーム)を作成: 必要な項目(申請者名、日付、理由、金額など)を選ぶだけのオンライン入力フォームを作ります。
データベース化(スプレッドシート連携): フォームから送信された内容は、自動的に1つのスプレッドシート(Excelのような表計算ソフト)に一覧として蓄積されます。
承認作業: 管理者や経理担当者は、そのスプレッドシートを見て内容を確認し、隣の列に「承認済み」と入力するだけです。
紙を印刷して回す必要は一切なくなり、過去の申請記録もスプレッドシート内で簡単に検索できるようになります。これだけでも、劇的な業務改善です。
しかし、Google フォームベースの簡易システムでは、「課長が承認したら、次は部長に通知を飛ばす」「一定金額以上なら社長の決裁も必要」といった複雑な承認ルート(多段階承認・条件分岐)を組むのは困難です。
そこで圧倒的な威力を発揮するのが、Googleが提供するノーコード開発プラットフォーム「AppSheet(アップシート)」です。(※Google Workspaceの多くのプランに標準搭載されています)
AppSheetの凄さは、「データベース(スプレッドシート)を読み込ませるだけで、プログラミングの知識がゼロでも、スマホやPCで動く立派な業務アプリを自動生成してくれる」という点にあります。
このAppSheetを使えば、以下のような高度な機能を持った「自社専用のワークフローアプリ」を構築できます。
Geminiがつくった基本の形からカスタマイズしていくことが可能
AppSheetを利用したワークフロー最大のメリットを享受するのは、実は現場の社員ではなく「承認者である経営層・管理職」です。
出張中や移動中のスキマ時間に、スマホを開いてアプリの通知をタップする。申請内容と添付ファイル(領収書や見積書)を確認し、「承認(Approve)」ボタンを1タップするだけ。
これで物理的な「ハンコ待ち」の時間は完全にゼロになります。
意思決定のスピードアップは、企業の競争力に直結します。「社長が出張から帰ってくるまで動けません」がなくなるだけで、組織全体の機動力は何倍にも跳ね上がるのです。
「自社の複雑なルールに合わせて、システムを特注(カスタマイズ)する」。これまでのIT導入は、そんな多大なコストと時間をかける手法が主流でした。 しかし、これからのDXで重要なのは、「システム(標準機能)に合わせて、独自の慣習や複雑なルールを削ぎ落とす」ことです。Google WorkspaceやAppSheetを導入する過程で、無駄な承認ルートや独自のこだわりを見直し、業務そのものをシンプルに作り変えることができるのです。
「脱・紙とハンコ」は、単なるツールの置き換えではありません。非効率な独自ルールを見直し、Googleの標準機能をフル活用できる組織へと進化するための第一歩なのです。
次回の第5回では、中小企業を悩ませるもう一つの厄介な問題。「あの人が休むと業務が止まってしまう」という『強烈な属人化』を解消し、組織の知識を資産化する「生きた社内ポータルの作り方」について解説します。
---
【宮城・仙台の中小企業様へ】
エスポイントでは、地元宮城・仙台を中心に、Google Workspaceの導入から運用ルール策定、さらには地域密着型の伴走型コンサルティングを提供しています。
「AppSheetを使ってみたいが、自社だけでアプリを活用するのはハードルが高い」「複雑な自社の承認フローをどうデジタル化すればいいか分からない」とお悩みの方は、お気軽にエスポイントまでご相談ください。プロの目線から、貴社の業務に合わせた最適なアプリ活用の方法をアドバイスいたします。
← 前の記事: 「ファイルが見つからない」問題に終止符を。Google ドライブによる脱・ファイルサーバーの実践ガイド
次の記事: 「あの人が休むと業務が止まる」を解消!Google サイトで作る「生きた」社内ポータル →